15

ラ・マノ 2nd

カテゴリー:TURN LAND

実施年度:2023年度

    参画施設・団体

    クラフト工房La Mano(ラ・マノ)

    障害のある方が手仕事の物づくりを担う染織とアートの工房。

    + Read more

    ラ・マノは、町田市の住宅街の里山のような森の中にあり、障害のある方が手仕事の物づくりを行っている場所。藍や草木で糸を染めたり、染めた糸を使っての織り、刺しゅうなどのクラフト製品の制作や、小さなアトリエで個々の豊かな表現活動を行っている。

    特定非営利活動法人La Mano
    クラフト工房LaMano 公式ウェブサイト

    https://www.koubou-lamano.com/

    活動紹介

    誰もが関われる憩いの場をみんなでつくってみんなで楽しむ

    アーティストの水内貴英(通称ジョニー)が昨年度にラ・マノに通ってワークショップをやったりデッキをつくったりした経験を振り返り、昼休みが一番利用者と自然にコミュニケーションがとれたことから、それならと施設長の高野賢二は昼休みを拡大してその時間にジョニーとの時間を設ける提案をした。利用者とジョニーが楽しく関われるようにするには職員のサポートや理解が必要なことや、きちんと仕事もしたい利用者の思いや習慣にも配慮しての発案だった。「昼休みを延長する」という発案によって、職員や利用者が日々の活動の延長線上でプログラムをとらえることができ、アートの時間をどう位置付けて良いか分からない気持ちや、自由だからこそ臨機応変な対応を求められる状況に対する心理的な負荷を軽減することができた。

    + Read more

    昨年度つくったデッキにテーブルを増設してテラスにしたり、ラ・マノの山でとれる木材や竹を活用してコップやタイルをつくったりと、みんなで手を加えながら「できたらここで何する?」と投げかけ合い、想像しながらその場に関わることで、そこに関わった人たちが当事者になっていく状況をつくることができた。ラ・マノの利用者が訪れた人たちにコーヒーを振る舞いながら話しかける様子はとても誇らしげでみんなを励ます力となっていた。

    活動記録 ジョニーのアフタヌーンブレイク  

    プロジェクトの動き

    2023年

    2023年7月25日(火)16:15~18:00 会場:クラフト工房La Mano

    企画構想会議   TalkTreeWORKSHOP®

    ツリー(Talk Tree)を作りながら今年度の活動を考える


    これからのTURN LANDプログラムの活動を考えるにあたり、クラフト工房La ManoでTalkTreeWORKSHOP®(※)を実施した。参加したのは、La Mano施設長の高野賢二と職員9名。La Manoで長年働くベテラン職員から若手まで、また、昨年度TURN LANDプログラムに関わった職員もそうでない職員も含め、それぞれの立場から意見交換を行った。

    昨年度を振り返ると「メンバー(利用者)がフラメンコを楽しそうに踊っていた」「メンバーの新しい側面が見えた」などの感想があがり、「(昨年度La Manoの庭につくった)ウッドデッキに行きたいというメンバーも出てきた」など実施後の利用者の反応も多く語られた。

    日頃感じている地域の課題について聞くと、「住宅街なので交流が少ない」「La Manoのことを(地域の人が)知らない」という意見があがり、「いろんな人がいても認めてもらえる」「健康で気持ちよく働けて生きていける」地域が、理想像として共有された。

    「実施して良かったと感じたことはどんなこと?」の質問に職員たちが答えていく。
    このプロジェクトの「社会の中での役割」について思いを巡らせ、「地域を巻き込んでいく」「新しい気づき・関係性」などの言葉が書かれた。
    クラフト工房La Manoの計10名のスタッフが参加した。

    今後の展開については、「地域の方々」や「(La Manoが行っている)染織に興味がない人」も含めた「多くの人にLa Manoを知ってもらいたい」という希望があがり、具体的には「音楽」「踊り」「お祭り」など、いろいろな人が楽しみを共有できるプログラム案が出てきてイメージを膨らませる場となった。

    ※ TalkTreeWORKSHOP®は、組織や人を1本の木に見立て、自分たちの活動が誰のために、何のためにあるかについて考え、積極的なコミュニケーションを促すことを目的としたもの。Talk Treeを考案した加藤未礼がファシリテーターを務め、今年度のプログラム参画施設・団体でそれぞれ実施している。

    2023年9月28日(木)10:30~15:00 会場:クラフト工房La Mano

    企画実施 《ジョニーのアフタヌーンブレイク》vo.1  竹のカップ作りワークショップ+案内

    竹のワークショップを行い、第1回ジョニーのアフタヌーンブレイクを楽しむ


    7月のTalkTreeWORKSHOP®を経て、クラフト工房La Manoでは昨年度に制作した庭のウッドデッキを活用したプログラム「ジョニーのアフタヌーンブレイク」をアーティストの水内(通称ジョニー)と共に企画。利用者がもっと日常的にデッキを活用したり、地域の人が気軽に参加して交流できるような場を目指し、まずは9月〜12月までの4ヶ月間、月に1回実施することに。昨年度を振り返り水内は「お昼休憩の時間に利用者さんたちとの交流が充実した」と語り、それを踏まえて施設長の高野が「みんなのお昼休憩を15分延長してTURN LANDプログラムの時間にしたらどうか」と運営者ならではの斬新なアイデアを提案した。

    初回となった9月28日は、午前中からLa Manoの職員と利用者のメンバーも荷物運びや枝拾いなどを手伝って会場作りをし、昼にはLa Manoの敷地内にある竹林の竹を使ったカップ作りを実施した。水内が切り出した竹を各自で選び、その縁をヤスリで磨き、それをカップにしたりスリーブにしたりしてコーヒーブレイクを楽しんだ。
    あまりに参加したみんなが機嫌よくのんびりと過ごしたことで、休憩時間がどんどん後ろ倒しになって伸びてしまうハプニングもあったが、コーヒーブレイクの時間を楽しみにデッキの周りを行き来していた。
    水内に「次はクレープ欲しいな」とか「とんかつとかもいいんじゃない?」など、次回に向けてアイデアを提案するLa Manoメンバー(利用者)の様子からは昨年度からの交流の蓄積を感じずにはいられなかった。農園の管理をしているボランティアのメンバーたちも、デッキを作った水内の活動には興味津々で、職員も利用者もボランティアも分け隔てなくゆったりと寛ぎお喋りしながら共にいる時間を楽しんだ。

    敷地内に自作の旗を掲示するアーティストの水内(通称ジョニー)。
    クラフト工房La Manoの敷地内にある竹林の竹を使ってつくったコーヒーカップ。切り立ての瑞々しい断面はとても綺麗。
    お茶を心待ちにしていた利用者がデッキに並ぶ様子。
    デッキでなにをする?なにをつくる?というジョニーからの質問に、利用者・職員からたくさんのアイディアが寄せられた。
    コーヒーを手にしてそれぞれにくつろぎタイム。
    お気に入りの場所を見つけてのひと息。
    ウッドデッキをめがけてブレイクに集まる利用者たち。
    ボランティアのメンバーも集まった。
    竹のカップにコーヒーを注いで一人ひとりにふるまう。
    ジョニーと利用者とのおしゃべりが続く。
    頼んだ飲み物が竹のカップに注がれる。
    ベンチを並べたウッドデッキの反対側が心地よい木陰になっていた。

    当日の準備の様子

    くつろぐのに欠かせないベンチや椅子を運んでいく。
    施設のお手製看板で利用者や職員たちを誘導。
    ブレイク用の備品をみんなで運ぶ。
    昨年から共に作業を続けてきて息もぴったり。
    メニューを書き出してブレイクの準備。
    水内が切り出した竹をカップの大きさにしていく。
    竹の縁を利用者も共にヤスリがけする。

    photos: Ayaka Umeda
    大小さまざまな竹のカップが完成した。

    2023年11月24日(金)10:00~17:00 会場:クラフト工房La Mano

    企画実施 共同作業期間:コーヒーの淹れ方練習、タイル貼り

    染織展でのコーヒーブレイクに向けた準備 ー 利用者のコーヒーの淹れ方練習とタイル貼り

    11月14・16・24日にアーティストの水内(通称ジョニー)はLaManoでの共同作業期間をとった。メンバー(利用者)全員がコーヒーを淹れることになり、水内とスタッフはメンバーにレクチャーをした。レクチャーする1人はLaManoの送迎スタッフで、この日は、5歳の息子と一緒にボランティアで手伝いに来てくれた。

    染織展に向けて、デッキの周りではガーランド張りとメンバーが描いたイラストのバナー展示を進めたり、来場者に絵を描いてもらうためのタイル用に木をスライスしたり、道の枝を拾って歩きやすくしたり。さまざまな作業を同時にみんなで力を合わせて進めていった。

    ジョニーが柵下の手すりに枝で装飾を始めると、普段枝拾いに関心を見せないメンバーも、枝を持って楽しげに手伝った。
    作業工程を確かめながらメンバーと一緒に手すりの固定を進めるジョニー(写真中央)
    職員とメンバーが集めた枝をデッキまで運んでくる。
    デッキ全体を見渡しながら、タイル用の木を細かく切るジョニー。
    お弁当を広げて、柵がついたデッキの使い心地を味わっている様子。左からジョニー、施設長の高野、事務局の関。
    コーヒーの淹れ方を復習するメンバーと職員。
    メンバーは用意されたエプロンを交代で着ける。エプロンはメンバーにとって作業を始める際のスイッチが入るアイテムになっているようだ。
    自分たちが淹れたコーヒーを味わってひと休み。
    絵を描いたタイルをユーカリの木の淵に添わせて貼っていく。
    デッキに続く小道には染織展に向け、メンバーが描いた動物の絵のバナーが飾られた。
    作業を振り返ってのミーティング。

    作業終了後はジョニーと職員、事務局スタッフで染織展の具体的なミーティングを行った。来場者にもこの場所(デッキ)で何をしたら面白いかを一緒に考えてもらうための仕掛けとして、自由にアイデアを書き込める掲示板を追加でつくることになった。

    活動の様子を載せたLa Mano×TURN LANDプログラム通信Vol.1(2023年12月)

    2023年12月9日(土)-10日(日)①10:30~11:30 ②13:30~14:30 会場:クラフト工房La Mano

    企画実施 ユーカリのテラスでコーヒーブレイク&木のタイルのワークショップ

    染織展期間中にコーヒーブレイクとワークショップ開催


    La Manoで毎年恒例の染織展が開催される期間中、今年は、コーヒーブレイクを来場者に満喫してもらうことに。当日出勤するメンバー(利用者)の中から、これまでのワークショップでドリップに慣れた人や、コーヒーが元から大好きな人、コミュニケーションが楽しめそうと思われる人たちがコーヒーブレイクの担当に入った。制作当初にデッキと呼んでいた空間を、人が集まる様子から、今回の開催に向けて「ユーカリのテラス」と呼ぶようになった。

    立派なシンボルとなったユーカリの木に雲形の黒板を掛け、このテラスを使うアイデアを募った。

    当日の開始時間になると、メンバーがテラスに上がってエプロンをつけ、来場者にコーヒーをふるまった。近隣の常連の方もいれば、La Manoに来るのは初めての方も。染織展開催を聞きつけて、工房が開かれることを楽しみに車を走らせてきたという方もいた。この期間には、羊毛のために市内で生育されている羊とふれあうことができ、親子や家族連れもテラスに立ち寄った。

    コーヒーブレイクを担当するメンバー(右)とジョニー(アーティストの水内、中央奥)とLa Mano代表の高野(左)が揃い、準備が整った。
    テラスで一息つく来場者。
    ユーカリの木の下でみんなのアイデアを募るジョニー。
    絵を描いたタイルをその場でテラスに敷き詰めていく。
    来場者と話しながらコーヒーを淹れる。
    飲んだコーヒーの感想をタイルに書き込む。
    このテラスでやってみたいことが黒板に書き足されていく。「ピアノを置く」「森の図書館にする」「シアター上映」「お絵描き、粘土のワークショップ」「キャンプ」など。
    午前中のコーヒーブレイク担当を終え、持ち場の工房に戻って藍の作業を続けるメンバー。
    メンバーが丁寧にコーヒーを淹れる様子を見守るジョニー。
    タイルに絵を描く親子。

    photos: Ayaka Umeda
    職員のデザインによるポスター