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西荻ふれあいの家 2nd
カテゴリー:プレLAND
実施年度:2023年度
参画施設・団体
西荻ふれあいの家(ももの会)
“人と人とをつなぎながら地域に根ざした福祉の街づくり” を目指す、高齢者在宅サービスセンター。
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認定特定非営利活動法人ももの会が運営する「西荻ふれあいの家」は、“人と人とをつなぎながら地域に根ざした福祉の街づくり” を目指す、高齢者在宅サービスセンター。NPO法人としての特長を発揮しながら、人間としての尊厳を守り、生きる喜びのあるデイサービス事業をしている。
活動紹介
「一見無駄な、でも誰かにとって大切なこと」を分かち合うことで生まれる特別な時間
アーティストの伊勢克也は前身のTURN事業でももの会に通った際、編み物をももの会のメンバー(利用者)たちから教わっていた。それ以来、自身の個展でも編み物の作品を発表するほどに「編む」という行為に夢中になっていた。以前交流した際にはさまざまな参加型のアートワークショップも実施したことがあり、互いの特性も理解している間柄なので、今回はあえてアートという謎めいた行為に直に触れてもらうような活動を目指し、伊勢の編み物の作品をみんなで作ることになった。
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お茶目で無邪気なメンバーたちからは、「なんでこんなもん作るの〜?」と率直な感想や文句が飛び交いながらも、「こうしなければいけない」もなければ「こうなったらダメ」も無い摩訶不思議な行為に徐々に慣れてゆき、「伊勢さんと共に分かち合うアトリエの時間」に夢中になっていった。伊勢の狂気に似た理由のない内発的なエネルギーに圧倒される時もあれば、うんざりする時もある。編み物を続けるうち何をしているんだかわからなくなったり、一人で編み物をする時とは異なる魅惑的で厄介な状況に魅了されたりするうちに、心が揺れ動く何気ない戯れの尊さに、別れを惜しむ状況さえ生まれていた。編み物が苦手な人もやったことのない人も何となく参加したくなる場の魅力が、一人また一人と参加者を増やしていた。
プロジェクトメンバー
- 伊勢克也(アーティスト)
- 渡邉梨恵子(TURN LANDプログラム事務局)
-
梅谷則子(西荻ふれあいの家 施設長)
-
宮浩子(ももの会 理事)
活動記録 イセカツ工房
プロジェクトの動き
2023年
- 6月19日
- 顔合わせと現状共有(職員、事務局)
- 7月7日
- 企画構想会議 TalkTreeWORKSHOP®(アーティスト、職員、事務局)
- 7月31日
- 企画構想会議(職員、事務局)
- 8月28日
- 企画構想会議(アーティスト、事務局)
- 9月26日
- 企画構想会議(アーティスト、職員、事務局)
- 11月8・9日
- 企画実施 施設活動訪問
- 11月16・17日
- 11月21・23日
- 12月7・12・14・21日
- 企画実施 施設活動訪問
2023年7月7日(金)17:30~20:00 会場:西荻ふれあいの家
企画構想会議 TalkTreeWORKSHOP®
ツリー(Talk Tree)を作りながら今年度の活動を考える
高齢者在宅デイサービス「西荻ふれあいの家」を運営するももの会で、今年度の活動を始めるにあたり、Talk TreeWORKSHOP®(※)を実施した。参加したのは、ももの会理事長や副施設長を含めた8名。
これまで前身のTURN事業や昨年度のTURN LANDプログラムに参加した感想では、「(利用者の)思い出が蘇った。彼女の人生が垣間見えた」「昔話が楽しかった」「思い出を掘ってもいいんだと思った」など、利用者に対して職員それぞれが抱いている想いが共有された。また、プログラムを実施した変化として、「喜びが増えた」「自分達の日常の活動は、社会とつながっているという実感があった」という意見も出てきた。
理想の地域像や希望としてあがったのは「世代関係なく皆で繋がれる地域」「西荻全体がひとつの大きな施設になればいい」といった内容。それを踏まえて、今後やってみたいプロジェクトとして、音楽や身体を動かすもの、編み物を用いた作品づくりなど、具体的なアイディアがたくさん交わされ、今年度の活動に向けて一歩踏み出す時間となった。
※ TalkTreeWORKSHOP®は、組織や人を1本の木に見立て、自分たちの活動が誰のために、何のためにあるかについて考え、積極的なコミュニケーションを促すことを目的としたもの。TalkTreeWORKSHOP®を考案した加藤未礼がファシリテーターを務め、今年度のプログラム参画施設・団体でそれぞれ実施している。
2023年9月26日(火)17:30~19:00 会場:西荻ふれあいの家
企画構想会議
編み物をただ「編む」行為や「美」に向き合う時間をつくるプロジェクト
今年度の活動について話し合うため、アーティストの伊勢克也が西荻ふれあいの家を訪問し、職員と企画会議を行った。伊勢は前身のTURN事業でも長期にわたって施設に通い、絵手紙や編み物など施設での活動に参加しながら、利用者との交流を重ねてきた。昨年度はふれあいの家での活動を休止していた伊勢だが、利用者からの「また来てほしい」「会いたい」という希望が絶えず、今秋から活動を再開することに。
伊勢から出てきたのは、利用者に「無目的に編み物をしてもらいたい」というアイディア。普段は何か作ることを目的に編み物をしているけれど、「目的があると終わりがある。終わるって嫌じゃない?無心で編み続けられるって幸せかもしれない」と、伊勢。職員は、「目的がないと難しいと思うけれど、以前伊勢さんが作った人の形をした作品には、皆さんすごく食いついていた。よくわからないけど、すごいものができるかもしれないと伝えたら、面白がるかもしれない」と、どうしたら純粋に「編む」という行為に向き合うことができるのか話し合った。
作品は何かしらの形で発表したいという希望もあり、伊勢が教鞭をとる女子美術大学の卒業生が運営するギャラリーで展示する案も出た。展示や発表も視野に入れながら、まずは編み物を通した活動を充実させること、そして日常的に「美」に向き合う時間を作っていきたいという意見を共有した。10月から、いよいよ今年度の活動がスタートする。
2023年11月16日(木)13:00~16:30 会場:西荻ふれあいの家
企画実施 施設活動訪問
編み物作品制作を再開する
11月から、アーティストの伊勢が施設での活動に何度も参加しながら、利用者との会話を楽しんだり、これからここでどんな活動があるとよいかを考えたりしている。伊勢自身はこれまで何年間も西荻ふれあいの家に通っているので、顔見知りも多く、伊勢の訪問を心待ちにしている利用者もいる。
俳句や絵手紙づくりほか日常の施設活動に参加をすることに加え、伊勢は自身で作っている編み物作品を持参した。実は伊勢が編み物を始めたのは、以前西荻ふれあいの家で行われている編み物の会に参加したことがきっかけだった。以来編み物の面白さにすっかりハマってしまい、自身の作品の新しい表現方法として編み物を取り入れ、実寸ほどある人型の編み物作品など作って展示で発表することもある。今回は利用者と一緒に作品の続きを編みたいと提案し、制作を再開する試みだ。
2023年11月23日(木)13:00~16:30 会場:西荻ふれあいの家
企画実施 施設活動訪問
編み物と施設活動を体験する
西荻ふれあいの家にアーティストの伊勢が通う中で、編み物を中心に利用者とコミュニケーションをとる日もあれば、講師を招いて行われる施設活動に伊勢自身が参加する日もある。今回は、俳句の会と健康麻雀に参加し、その後編み物も進めていった。
11月初めの訪問では、編み慣れたマフラーやセーターと違う伊勢の作品を前に、戸惑う利用者も多かった。何をどこまで編んでいいのかわからなかったり、編み目や色の切り替え場所が曖昧なことが腑に落ちなかったり、不安になって毛糸をほどいてやり直している人もいた。しかし、伊勢に進め方を尋ねながら回を重ねて、制作を続けるうちに、「これでいいのね。」と気ままに色を替えたり、深く考えずに編み進めること自体を楽しめる余裕が出てきている様子だ。